まえがき:なぜ、隣の人は成功しているのか?

なぜ、隣の人は成功して、あなたは成功していないのか。なぜ、毎日勝っている人のブログがこんなにもあるのに、あなたは勝てないのか。トレードシステムを公開している人がいる。真似をしてみようか。1年で2000%の利益を生んだシステムが売っている。買ってみようか。株をやりはじめると、誘惑が非常に多い。どれを無視して、どれを信じればよいのだろうか。

そもそも、あなたはどうして株を始めようと思ったのか。年収500万そこそこで、平日ずっと働いているのに、株で9時〜9時15分で毎月200万稼いでいる人がいたからだろうか。働くより儲かりそう、と思った、という人は、おそらくは、株を始めようと思った人の半分以上を占めると思う。株で成功できるだろうか。

偶然勝てる相場で勝った人は、それは実力なのか

株で、偶然勝つことはできる。偶然勝ち続けることは難しい。でも、100人いれば、数人くらいは、何年か勝ち続けるかもしれない。株をやっている人は非常に多いので、勝ち残る人は増える。大きなリスクを取ってトレードをすれば、偶然勝ったときに、大きな利益を手にすることができる。他人は何人もいるので、偶然に任せて、大きなリスクを背負ってトレードしていても、まったくかまわない。しかし、あなた自身が成功を収める場合には、事情が全然違う。100回人生があれば、そのうち何回かは成功できるが、人生は1回しかない。他人がやるようなやり方ではいけない。

成功している人や、成功しているシステムの下には、その何倍もの数の、失敗した人や、失敗したシステムがある。失敗したものには興味がないので、失敗したものには脚光が当たらない。私たちは、相当な生存競争が繰り広げられた、その後の結果だけを知ることができる。何人が成功したかを知ることはできるが、何人が失敗したかを知ることはできない。成功し、生存した人の話だけを聞いてはいけない。そんなことをしては、成功するまでに、何十回もの人生を必要とすることになる。

そういう話をすると、たいてい反論として返ってくるのが、「本当に実力で勝っている人もいる」という類のものである。それは正しい。でも、2点くらいは応酬できる。1点目、残念なことに、本当に実力で勝っている人と、偶然勝っている人とを区別する手立てがない。偶然勝っている人も、相当にそれらしく聞こえる理論武装をしている。傍から見ていて、区別できない。一方は常勝の王道を行く方法を取っており、もう一方は屍の山で頂点を目指す、破滅的な方法を取っている。そんな人たちあてにできない、混ぜたら価値はなくなる。結論は同じ、人のやり方はまねるな、になる。

2点目、たぶん、本当に実力で勝っている人なんていない。証明はできない。でもたぶんそうだ。証明できないってことは、たぶんそうだ。

誰にとっての1000万円も、価値は同じか

あなたが毎日働いて稼ぐ500万円と、株で2日で儲けた500万円は同じ価値か。たぶん違う。あなたの500万円は、たぶん来年ももらえるであろう500万円だ。株の500万円は、来年ももらえるかどうかは分からないし、場合によっては取り上げられる可能性もある500万円だ。手堅く稼いでいるお金には、相当の価値がある。株で稼ぐお金は、いつかまったくもらえなくなるかもしれないし、盗まれるかもしれないし、下手をしたらいきなりお金のせいで破産することになるかもしれない。

何倍かしか違わないなら、手堅く働いたお金を選ぶ。

リスクをとってはいけない、決してとってはいけない

決して、破産するようなリスクをとってはいけない。その可能性が非常に低いと考えられても、決してとってはいけない。人生は一度きりだし、株で成功しなくても、そこそこいい人生である。

株をやっているうちに、全自動システムを作っているうちに、そういう感覚がなくなって、0.3%の確率で全財産を失うシステムを運用したりする。考察はだんだん数字遊びになって、本当に大事なことがわからなくなったりする。そんなあほな、と思っていても、実際そうなったりする。